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生命の力そして危機
2006.12.10
昨年秋から今年にかけて社屋の屋上で青梗菜(チンゲンサイ)、白菜などを栽培し、春、採種のために幾株かを開花させた。屋上の一画は黄色い花に美しく覆われ、結実した。その青梗菜の種子が風にあおられてこの裏通りに落ち、コンクリートの隙間ゆえに雨に流されることなくとどまったようだ。堆積した砂埃、湿り気、ひんやりしたほの暗さが発芽の好適環境となった。
この植物の生命を脅かす存在はいくつかあった。虫、鳥、過乾燥、そして、人間。乾燥は根を延ばすことで克服できる。鳥には食べられることもなく今の姿を保った。もし食べられても、鳥は食べ尽くすことをしない。虫には少し食べられたが、ダメージというほどではない。ひょっとすると鳥が虫を食べたかもしれない。そして人間……おそらく青梗菜と気づいた人もいるだろう。
もともと食用に開発された品種だ。商業生産ではより大きく重量のあるものが商品価値が高いとされる。葉を育てるには窒素成分がいいとわかった。だが病害虫に遭いやすくなるので農薬を使うようになった。その残留はもちろん怖い。しかしもっと怖いものがある。それは窒素肥料そのものだ。植物は大半を硝酸態窒素として吸収する。多量に摂取された場合、必ず植物体内にそのまま蓄積される。菜モノは特に顕著だ。
硝酸態窒素の多量摂取は人間の生命にかかわる。離乳食から過剰摂取した幼児は血液障害が起こって窒息状態となり、体が青くなる「ブルーヘビー病」となって死に至る。成人では発がん性物質に移行する。硝酸態窒素は植物または自然界ではごく当たり前の存在だ。皮肉にも、科学したつもりになった人間は人為によりみずからの生命を脅かすことをしてしまった。それを知らないことは恐ろしいが、ちゃんと伝えられないことの方がもっと恐ろしい。
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