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7.8 蝶のいのち
4.13 生命循環
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12.17 微生物は自然の強者
12.10 生命の力そして危機
12.4 葉からクローン

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蝶のいのち
....... 2007.7.8
キアゲハ (学名 Papilio machaon、パピリオ・マカオン) はセリ、ミツバ、ニンジン、パセリなどセリ科の植物を好む。産卵後のパセリは、幾多の幼虫の生長とともにあっというまに丸裸になってしまう。農業生産では「害虫」扱いである。画像は東京都内の公共施設の花壇で無農薬栽培していたもので、キアゲハには申し訳なかったが、ニームオイル (インドセンダンの種子油) の効果を試すために譲り受けた。
エサはスーパーで買い求めたパセリ。農薬がついているといけないのでよく洗い、一晩ミリオン水に浸けた。最初はオアシスにパセリを差して、ここに幼虫をくっつけた。とたんに旺盛な食欲でパセリを食べ始めた。しかし、異変はそのときから起こり始めていた。翌日、摂食がぴたっと止まった。パセリの葉から落ちているものや、明らかに葉から離れているものがいる。葉の新鮮さが原因かと思い、新たにパセリを買い足した。
今度は、飼育ケースによく水洗いしたパセリを敷き詰め、ここで飼うことにした。数日後、事態は急変した。小さな何匹かが死んでおり、大きめの何匹かがアクリル板の壁をよじのぼっている。しかも美しい黄色の部分が黒ずんでいる。まったく予想外のことだった。原因はいくつか考えられる。アクリルが放つガス、下に敷いたショップタオルが放つガス、そして、パセリそのもの。しかし、調べた限りでは前二者の可能性はきわめて低い。そうなると、開放した環境ですぐに摂食が止まったことが思い当たる。
飼育開始後1週間もたたぬうちに、痛ましい結末に遭遇することになった。最も大きかった幼虫が、アクリルの壁を上る途中で力尽き、死んでいる。口から吐き出したと思われる体液がアクリル板に付着している。体は、それが抜け殻でもあるかのようにしわだらけになって萎縮していた。それもそのはず、大量の体液が体から流れ出してしまったからだ。
状況から判断するに、体を動かすたびに体液が流れ出し、体の縮れかたからすると、最後は筋肉が痙攣や萎縮を起こして一気に体液が流れ出して息絶えたと思われる。苦しんでもがいた経過もあったかもしれない。少しずつ流れ出したのなら壁面で乾いて残るはずで、下のショップタオルのしみの具合からすると一度に大量のものが流れ落ちたと考えられる。なぜ、こんなことにならなければならないのか...
後日、私は山形県の生産者に出向く用があり、たまたまそこで横浜市の障害者施設を運営している方にお会いする機会があった。そこでこの体験をお話しすると、じつはその方もまったく同じ体験をしていたとのことだった。もっともその方は成虫になるまで育てるのを目的としていたところが私とは異なる。エサは同じく、スーパーで買ってきたパセリだった。
その方のお話では、近年、横浜市では新生児が障害をもって誕生するケースが激増しているらしい。胎児は通常、白っぽいきれいな羊水のなかで成長する。しかし、最近は羊水が黄色味を帯びて濁っているらしい。その原因はいろいろ考えられるものの、食物がかなり大きく影響していると、その方も直感的に思ったそうだ。数年前、子供を産んでキレイになる、というテーマの本が発刊されたが、羊水に悪いものが蓄積して「排泄」されるのだから母親がきれいになるのは当たり前で、悪いものを胎児が継承している、と、障害者施設の方は指摘した。子供も「排泄物」なのか?
野菜に使う農薬も問題であるが、もっと問題があると考えられているものに、野菜の流通過程で使用する鮮度保持剤があり、界面活性剤系の薬剤に野菜を浸すケースもある。パセリなどは明らかで、通常、野摘みしたものはまもなくしなびてしまうが、市販のパセリは1週間以上も置かれている場合もあって、形を保っている。
野菜の鮮度保持の方法はひとつではないが、薬剤を使用する場合、安全性、特に摂取後の体内蓄積による影響を検証したものなどないのではないのか。農薬と併せ、国家は正しい情報を国民に提示する責任がある。さもなくば、我々は我々自身で正しく生きる方法をとっていくしかない。

キアゲハのいのちに我々自身が見える。生き物であることに変わりはない。

もうひとつ気づいたことがある。このキアゲハは糸を吐いて体を固定していた。サナギになるときの形だ。通常は、冬、気温が一定以下になると、越冬のためにこの形になる。これは寒さというより、幼虫での生命の限界に反応してのことではないだろうか。今回の場合は、毒物によって生命の危険を感じ、越冬と同じ行動をとったのかもしれない。もしそうだとすると、体の萎縮はサナギへの変態のプロセスだったことも考えられる。
チョウをはじめ、生物のなかには、生きるために状況に応じて身体を変化させることのできる高度な能力を持つものが多い。もちろん人間にこの能力はない。しかし、このキアゲハは越冬と同じ「変態」という方法では死を克服できなかった。つまり、予測もつかない物質のために自らの能力は無効化され、生きる道が封印されてしまったということだ。

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